千住 博
HIROSHI SENJU
1958年 東京生まれ
1982年 東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業
1987年 東京藝術大学大学院博士課程修了
1995年 第46回ヴェネチア・ビエンナーレ<名誉賞>
彫刻の森美術館「千住博 Waterfall&Glasses 展」(箱根)、
ロンドン現代美術館「ビューティフルプロジェクト」展
2002年 第13回MOA岡田茂吉賞<大賞>、大徳寺聚光院別院襖絵完成
2004年 東京国際空港第2旅客ターミナルのアートディレクション担当
2007年 京都造形芸術大学学長に就任(〜’13年)
2011年 軽井沢に千住博美術館開館
2017年 第4回イサム・ノグチ賞(アメリカ)
2018年〜20年 『高野山金剛峯寺襖絵完成記念千住 博展』巡回展。
2021年 日本藝術院賞受賞。恩賜賞受賞。
2021〜2022年 シカゴ美術館(米)で「シカゴにおける千住の滝展」開催。
メトロポリタン美術館をはじめ世界主要美術館に作品収蔵。
現在 京都造形芸術大学大学院教授、同付属康耀堂美術館館長
-これからの展望-
墨は人類の生み出した技法の中で、最もエレガントなものだと思っています。硯に墨を磨るだけで、香りからも雰囲気が漂い、黒いねっとりとした色彩は心をおちついた境地に誘います。そのような気配も手伝ってか(あくまで私にとっては、ということですが)墨絵は描こうとしている着地点の何歩も手前でそれらしくまとまってしまうのです。その為、若い時は決して手を出してはいけない、と心に誓っていました。
61歳になり、金剛峯寺の襖絵を納得いく形で完成させ、岩絵の具を十全に使い尽くした、というか、これ以上このやっかいな素材は上手に使うことはできない、と感じ、また内容もこの技法では私にはこれ以上の作品はのぞめない、と感じた今、この危険な水墨画の世界に心して本格的に手を染めてみようかと思い始めたところです。〜千住博
《断崖図》と高野山金剛峯寺襖絵について
《断崖図》は2009年ベネッセアートサイト直島の「家プロジェクト」に始まったシリーズ。和紙を揉んで皺を作り、そこに岩絵の具を流して崖の表情を作る、いわば「平面の彫刻」という、世界初の画期的な技法で描かれる。高野山金剛峯寺襖絵は襖絵と床の間からなる障壁画44面。2015年、開創1200年の際に千住が依頼を受け、2020年に奉納された。