篠田桃紅
TOKO SHINODA
1913年中国大連に生まれ、5歳の時に父の手ほどきで墨の美しさに触れ独学で書を極める。第二次世界大戦後、文字を解体し墨で抽象を描き始め43歳の時に渡米しニューヨークを拠点に各地で個展を開催し高い評価を受ける。2005年にはニューズウィーク(日本版)にて 「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれる。作品は大英博物館、メトロポリタン美術館、東京国立近代美術館等世界中の代表的な美術館に収蔵。近年まで第一線で制作を続けていた。2021年3月、老衰の為、逝去。享年107歳。
墨に生きる
墨いろには無数の段階があり、
かたちづくる心が、濃淡や、線や空間の質となって作られるが、
墨痕というふるいことばが示すように、
日々の心のありかたが、そこに跡づけられているのを見て、
自分で自分に突き当たることが多い。
〜『桃紅 私というひとり』(世界文化社 2000年)