加山又造
MATAZO KAYAMA
1927年 京都市に生まれる
1949年 東京美術学校(現・東京藝術大学)卒業。山本丘人に師事。創造美術展に初出品
1950年 第2回創造美術春季展で研究会賞受賞
1951年 第15回新制作展で新作家賞受賞
1966年 多摩美術大学日本画教授に就任〜’73,’77〜’88
1988年 東京藝術大学教授に就任。東京藝術大学名誉教授
1992年 日本中国文化交流協会常任理事に就任。新東京国際空港に陶板壁画「日月四季」完成
1997年 文化功労者に顕彰される
2003年 文化勲章受章
2004年 歿。享年76歳。
〜伝統美の中に革新を起こし続けた華麗なる日本画家〜
若い時代からシュールレアリズムやキュビズムなど様々なジャンルへの試みを実践し、琳派の画系に鋭い現代的感性を採り入れた作品群を展開し、常に果敢な挑戦を続けた。今も変わらぬ輝きを放つ加山芸術には、どの時代においても日本の伝統に則しつつ時代の先端を切り拓く前向きな姿が投影されている。それは、新しい伝統の確立への使命感によるところが大きかったと考えられる。
私は、深夜、銅版を刻むとき、銅版と刃物の間で生じる、ひそかな音のなかに、そのはるかなものを呼びさまし、幼時のおりの、あのさめた心を彫り返す。
またジンク版の上に、極細の蒔絵筆で線を引くとき、幼時の時の不思議な形をなぞりだす。
版画は私にとって閉ざされた心の密室の図書館にもぐり込み、遠いはるかなものをかぎつけ、引き出す手段のような気がしてならない。
私は、版画を作るとき、何か得体の知れない奇妙な可能性を感じるような気がする。
〜『加山又造全版画集1955~84』