東山魁夷
〜気高くも深遠な風景画の巨匠〜
KAII HIGASHIYAMA
1908年 横浜に生まれる
1931年 東京美術学校(現・東京藝術大学)日本画科卒業、結城素明に師事し、画号を魁夷とする
1933年 ドイツ留学。ベルリン大学で美術史を学ぶ
1947年 「残照」を描いて以来、風景画家として立つことを決意
1950年 日展審査員となり、「道」によって画壇及び社会的に認められる
1968年 皇居新宮殿壁画「朝明けの潮」が完成
1969年 文化勲章受章、文化功労者として顕彰される
1975年 唐招提寺御影堂第一期障壁画「山雲」「濤声」完成、奉納
1976年 ドイツ連邦共和国功労第十字勲章受章
1980年 唐招提寺第二期障壁画「黄山暁雲」「揚州薫風」「桂林月宵」が完成、奉納
1989年 ベルリン国立東洋美術館、ハンブルク工芸美術館他で「東山魁夷展」開催
1990年 長野に東山魁夷館開館
1999年 歿。享年90歳。勲一等瑞宝章追贈
2005年 香川県せとうち東山魁夷美術館、市川市東山魁夷美術館開館
私の旅の方向、つまり自己の絵の方向を決定してゆくのは、私の内奥の声にしたがってのことである。
私は旅の途中で、時々、心を無にし、静かに内からささやく声を聞く。しかし、時には外から私の方向を決定づけられることもある。壁画の場合などはそうである。その時私は、私の中から未知のものが引出されてくるのを感じる。私はそれにしたがって描く。私の内奥の声とは、私自身の声であろうか。私の心を無にしなければ聞こえてこないその声は、どこからか、何物からか私に響いてくる声ではないだろうか。それが何なのか私にはわからないが、私を歩ませ、私の旅路を決定してゆく力を持つ。 〜「旅路」東山魁夷画文集第5巻